宮野真守

宮野さんは現在の声優ブームを支えている大人気声優の1人です。長身でスタイルが良く整った顔立ちをされていることから女性ファンから多くの支持を得ていらして、女性週刊誌やバラエティ番組で「イケメン声優」として紹介されることもよくあります。

もちろん声もイケメンで演技力も高いため、多くの代表作をお持ちです。代表作は機動戦士ガンダムOOの刹那・F・セイエイやカードファイト!!ヴァンガードGの伊吹コウジのようなクールな役に、DEATHNOTEの夜神月や東京喰種の月山習のような狂気に満ちた役。

STAR DRIVER輝きのタクトのツナシ・タクトやDOGDAYSのシンク・イズミのような前向きで明るい少年の役に、STEINS;GATEの岡部倫太郎や桜蘭高校ホスト部の須王環のような残念なイケメン。鋼の錬金術師のリン・ヤオや黒執事のジョーカーのような飄々とした役に、ちはやふるの真島太一やFree!の松岡凛のような真面目な役など主役や主要キャラを多く演じられています。

近年の大ヒットアニメ映画でもある「亜人」でも主役の永井圭役を演じていらっしゃいますよね。洋画吹き替えでも活躍されていてチャーリーとチョコレート工場やパーシー・ジャクソンとオリンポスの神々では主役格の吹き替えを担当。

またウルトラマンシリーズのウルトラマンゼロや獣電戦隊キョウリュウジャーの獰猛の龍騎Dなど、特撮モノの吹き替えでも活躍されました。歌唱力にも優れていて2007年に鋼鉄三国志のエンディングテーマを担当されたことがきっかけで音楽会社と契約。

2015年にはオリコンシングルデイリーランキングで1位を獲得されました。声優による個人名義のオリコンランキング1位獲得は水樹奈々さん以来2度目の快挙で、男性声優では初めてです。

ちなみに音楽会社との契約は水樹さんの後押しがあってのことだったので、宮野さんは「現在の活動について水樹さんの存在はとても大きい。」と語り姉のように慕っていらっしゃるそうですよ。

更にトーク力にも定評がありラジオパーソナリティとしても活躍されていて、同じく声優である髙木俊さんと結成されている演劇ユニットSMILY✩SPIKY名義の冠番組は7年にも及ぶ長寿番組となっています。

その優れた多くの才能は声優アワードでも度々評価されていて、主演男優賞、助演男優賞、歌唱賞など複数の賞を獲得。アニメ雑誌のランキング企画でも上位常連です。誰もが惹きつけられるような魅力は輝きを増していくばかりですし、これからも今以上に声優界を盛り上げていってくださることでしょう。

麻生美代子

麻生美代子さんの代表作といったら、サザエさんの磯野フネ役でしょう。日本に住んでいる人ならフネさんの優しく母の温かさに溢れた声を聞きながら日曜日を過ごすのが幼少の頃の定番で、大人になった現在でもそうだという人は大勢いるはずです。

2015年9月末にご高齢であることを考慮してフネ役をご卒業されたのですが、放映開始の1969年から46年間も務められました。初代フネ役としてそんなにも長い間演じて来られたのは簡単なことではありませんし、レギュラー声優陣の中でも最年長であったため収録現場を取り仕切る役目を担っていらしたそうです。

他の代表作はアルプスの少女ハイジのロッテンマイヤーさんやマリア様がみてるのシスター・上村のような厳しい大人の女性、らんま1/2のコロンや鋼の錬金術師のピナコ・ロックベルのような元気なおばあさんなど落ち着いた大人の演技で若い主人公達を諌めたり導く役柄を多く演じられました。

またその活躍の場はアニメやゲームだけに留まらず、洋画吹き替えも多数こなされています。代表作は赤毛のアンシリーズや刑事コロンボシリーズ、ディズニー映画の名作である眠れる森の美女など往年の名作に多数出演。ナレーションでも和風総本家やニュースステーション、家庭教師派遣会社のCMなどで活躍されました。

特に和風総本家や家庭教師派遣会社のCMでは現在90歳とご高齢にも関わらず今も現役で務められていらっしゃいますよ。日本のお茶の間に半世紀近くも温かい家族の姿を届けてきたその声は未だに褪せることがなく、これからも私達の耳と心に届けられるでしょう。

また麻生美代子さんの活躍の場は声優だけには留まりません。俳優としてテレビドラマや舞台演劇でもスポットライトを浴びられました。

魂萌え!やつばさといったNHKの連続ドラマに出演されましたし、あおげば尊しという映画ではテリー伊藤さん演じる主人公の母親役を熱演。舞台では声優仲間である鈴置洋孝さん主宰の劇団の舞台に多数出演し、劇団としての最終公演である「素晴らしきこの世界」では御年79歳にしてベテラン風俗嬢役を演じられました。

偶然縁あって私はこのときの舞台を拝見させていただいたのですがお年を感じさせないほど伸びやかな良い声をされていて、背筋をピンと伸ばして堂々と演じる姿はとてもカッコよかったです。

そんな麻生さんが俳優を志したのは学生のときでした。当時は戦争中でご本人も旧海軍で艦船及び航空機のための天体観測に従事され東京大空襲では被災されてしまいましたが、戦火と終戦後の激動を乗り越え舞台やテレビドラマで活躍。

1966年には魔法使いサリーにて声優として声のお仕事を始め、その3年後に磯野フネ役と運命の出会いを果たされました。趣味はシャンソンや油絵などジャンルを問わず多くお持ちで、特にスキューバダイビングは47歳から80歳までとかなり長く続けられたそうです。

好きなことや楽しいこと、興味があることがいっぱいで歳を取っているお暇がないのではないでしょうか。そしてこんなにエネルギッシュだからいくつ歳を重ねてもずっと現役でお芝居出来るのでしょうね。ぜひ見習いたいものです。

三ツ矢雄二

三ツ矢さんはお年寄りから若い人まで幅広い世代にその名と声を知られているベテラン声優です。その中性的なハイトーンボイスは1度聞いただけで印象に残りますし、高い演技力により伝説級となったキャラクターや作品は数知れず。

代表作はタッチの上杉達也やキャプテン翼(昭和版)の新田瞬のようなスポーツ少年に、超電磁ロボコン・バトラーVの葵豹馬や超人戦隊バラタックの加藤ユージのようなロボットアニメの主人公。

キテレツ大百科のトンガリやそれいけ!アンパンマンのカツドンマンのような子供向け番組で人気のキャラクターに、さすがの猿飛の猿飛肉丸やがきデカのこまわり君のようなスケベな役。六神合体ゴッドマーズのマーグや聖闘士星矢シリーズのシャカのような整った容姿で女性ファンに人気がある役に、スマイルプリキュア!のジョーカーやONEPIECEのピーカのような悪役。

ドラゴンボールシリーズの界王神のような生真面目な役や空中ブランコの伊良部一郎(大及び中)のようなワガママで子供っぽい役など、役柄や性格を問わず様々な役を演じられています。

さらにモンスターハンター妖子やナースエンジェルりりかSOSでヒロインの祖母役を演じるなど、自身の性別とは違う役を演じられることも。女性声優が男性役をやることはよくありますが、おばあさんの役とはいえ男性声優が女性役をやるのはかなり珍しいです。

もちろんアニメやゲームだけでなく洋画吹き替えでも活躍されていて、マイケル・J・フォックスの吹き替えを多数の作品で担当。特にマイケル・J・フォックスが主演を務めたバック・トゥ・ザ・フューチャーではシリーズ全てで吹き替えを担当されました。

他にはヴァン・ヘルシングやメン・イン・ブラック2及び3など有名作品でも吹き替えをされましたし、特にメン・イン・ブラックではマイケル・ジャクソンの吹き替えを担当されましたよ。

さらにトイ・ストーリーのレックスやライオン・キングのティモン、リロ・アンド・スティッチのプリークリーなどの世界的に有名なアニメでシリーズを通して参加されるなどアニメだけでなく洋画吹き替えでも欠かせない人物です。

誰もが知っているベテラン声優の三ツ矢雄二さんですが、声優だけでなく俳優でもあります。10歳のときにちびっ子のど自慢番組で優勝したことがきっかけで芸能界に興味を持ち、中学校入学と同時にタレント事務所に所属し子役としてデビューされました。

三ツ矢さんは現在62歳ですので、子役時代から数えると50年近くもキャリアがあることになりますね。デビューの翌年から連続ドラマで主役を務めたりNHKの名物ドラマであった中学生日記の前身である「中学生群像」に出演されるなど、全国ネットで活躍されました。

忙しすぎて中学生時代も高校生時代もあまり授業に参加出来なかったそうですよ。それだけ活躍されたのですから当然成人後も役者を続けていこうと思われ高校卒業後に上京されたのですが、それから急にオーディションに通らなくなっていまいます。

その理由についてご本人は「身長が158センチしかなかったから。」とおっしゃられていました。もちろん低身長だから役者を続けるのは困難であるというわけではありませんが、見栄えなどを考えるとオーディションを受ける役によっては不利になることもありますからね。

それでも専門学校で映像について学びながらアルバイトで生活を支えていく中、子役時代にお世話になっていたディレクターの紹介で人形劇「プルルくん」に出演することに。三ツ矢さんにとって初めてとなる声のみのお仕事で約3年間も続いた番組なのですが、最終日の打ち上げの際に共演者であった永井一郎さんからとあるアニメのオーディションを受けてみるように勧められました。

そのアニメというのが代表作の1つとなる「超電磁ロボコン・バトラーV」で、声優としては新人であるにも関わらず主役の葵豹馬役に大抜擢。声優関連の専門学校出身であるわけでもないしアフレコも初めてで戸惑われることももちろんありましたが、関係者の勧めで宇宙戦艦ヤマトの現場を見学されたことやスタッフ陣及び先輩達の指導の元大きく成長。

コン・バトラーV終了後はキャンディ・キャンディや超人戦隊バラタックに続けて出演し、声優として本格的に活動されるようになりました。それから多くの作品で主要キャラを務められることになるのですが、六神合体ゴッドマーズでは主人公の兄・マーグ役で出演。三ツ矢さんの演技がマーグの魅力を引き出し、制作陣が想定していた以上の人気キャラになりました。

この役は途中で亡くなってしまうのですが死亡するという情報が流れたときは助命嘆願書やカミソリが制作側へと送られてきたそうですし、亡くなった際には日本テレビ内でファンの手によってお葬式が催されたことも。

それほどの圧倒的すぎる人気は物語の展開にも影響し、マーグは魂のみの存在として復活。さらに最終回のエンディングテーマの歌唱も担当し、後にマーグを主役とした劇場版やオリジナルビデオアニメが制作されました。

そこまでご自分が演じたキャラを愛してもらえて役者冥利に尽きる思いだったのではないかと思います。

またタッチでは「弟の和也の方が死ぬらしい。」という噂を聞いていたので、兄の達也役でオーディションに参加。プロデューサーやディレクターから「達也の方が役的に複雑で勉強になるから頑張れよ!」と陰ながらの応援を受けて、見事に合格。

なおこの際のオーディションは先入観に左右されないように姿が見えないようにしたり出番のときは番号で呼ばれるなど、覆面オーディション形式で行われたので達也役を得たのは完全に三ツ矢さんの実力ですよ。

後に達也役について三ツ矢さんは「自分とは正反対な役だから演じるために苦労したし、それと同時に正反対だからこそやりやすかった。」と語られています。ちなみに弟・和也役で合格した難波圭一さんに「死んじゃってもね、人気があってファンが騒ぐとね、生まれ変わるよ。」とマーグでの経験から語られていたのですが、生き返りませんでした。

これにより難波さんに「なんだ、生き返らなかったじゃないですか。」と言われてしまい、「SFと現実ものは違うね。」と謝罪されたそうです。それとここ近年になって三ツ矢さんは再び俳優としてテレビドラマで活躍される機会が増えていらっしゃいます。

「天誅~闇の仕置人~」ではおネエ系ママ役としてレギュラー出演されていましたし、映画「さよならドビュッシー」にも出演されました。声優志望の方は三ツ矢さんの声のみの演技をお聞きするのももちろん勉強になるのですが、俳優として体を使った演技をされているところを拝見するのも大変勉強になるので機会があったら是非ご覧下さい。

また三ツ矢雄二さんは家庭教師ヒットマンREBOAN!やビックリマン2000などの作品で、音響監督としてアフレコ演出をされることで出演者の方々を裏から支えられることもあります。

その作品の中には俳優やタレントなど声優としてお仕事をするのは初めてである方が起用されることも多くどの方も最初は上手く出来ずに戸惑われるのですが、三ツ矢さん自ら手本を見せ具体的に丁寧に演技指導を行うことで1人前の声優へと導いていらっしゃいます。

特に初めて音響監督をされた「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」では主演に元・宝塚トップスターの涼風真世さんが起用されたのですが、三ツ矢さんの指導のもと涼風さんは主演声優として大きく成長。

アニメと宝塚の演技を見事に融合させ頼もしい師を得た涼風さんは番組が終了するまでの2年間立派に主役を務められましたし、テレビアニメの続編となるオリジナルビデオアニメや9年後に制作された新作アニメでもそのまま続投されました。

また遊戯王デュエルモンスターズでは当時高校生だったジャニーズの風間俊介さんが主演を務めることに。もちろん風間さんも声のみの演技は初心者で番組開始直後は棒読みに近いような出来だったのですが、音響監督として厳しく丁寧に指導された結果回を重ねるごとに成長し最終的には一人二役を完璧にこなされていました。

さらに三ツ矢さんはテレビアニメの音響監督だけでなく「テニスの王子様」や「少女革命ウテナ」などのミュージカルで脚本や演出を手がけたり、俳優養成機関の代表を務めるなどその幅広い活躍には際限がありません。ベテラン声優としても裏方や教育者としても、いつまでも声優業界を支えていってくださることでしょう。

沢城みゆき

沢城みゆきさんといえば押しも押されぬ超人気声優です。近年の人気声優ランキングでは必ずトップテン以上に入っていて、毎年行われている声優アワードというその年に最も声優業界の発展に尽力した声優にのみ送られる賞では主演や助演で何度も受賞されています。

代表作として挙げられるものはとても多く、また役の幅もとても広いです。一例を挙げるとべるぜバブのベル坊といった赤ん坊役にしあわせソウのオコジョさんのコジョピーといったマスコットキャラ、ローゼンメイデンの真紅のような可愛い女の子。

化物語の神原駿河のようなボーイッシュな女の子にHUNTER×HUNTERのクラピカのような青年役、デュラララ!!!のセルティのような大人の女性からダンガンロンパシリーズの腐川冬子のようなサイコな役など幅広く演じられる芸達者な方です。

セクシーな役も多く演じられ特に2011年にルパン三世のレギュラーキャラが総入れ替えになった際に、峰不二子役を増山江威子さんから受け継いで3代目不二子ちゃんとなったのはあまりにも有名。

またアニメやゲームだけではなくナレーションでも活躍されていて、櫻井・有吉THE夜会や報道ステーションといった大型番組のナレーションを行うなど声優ファンじゃなくても彼女の声を聞いたことがない人はいないでしょう。

その圧倒的な実力と高い人気ゆえに出演作はかなり多く、人気アニメやゲームでは必ずと言っていいほどキャスト欄で名前を目にしますね。休日や寝ている暇がないのではないかと思うくらい、今最も多くの作品に出演している女性声優の1人であるといってもいいでしょう。

また大学の外国語科出身なため、英語がかなり堪能。戦姫絶唱シンフォギアやレジェンズ~甦る竜王伝説~では英語のセリフを話していたり、イベントや声優アワードで海外ファン賞を受賞した際には英語でスピーチを行っていました。

それ故もちろん洋画吹き替えのお仕事も多いです。その発音は本格的で人気ゲームストリートファイターⅣの英語吹き替え版製作の際参考のために沢城さんが演じていたときの声をスタジオで流したのですが、本格的すぎて現地の外国人声優が指示前に勝手に演技を始めたのかと勘違いさせるほど。

声優は言葉を正確に話すためにイントネーションやアクセントを聞き分けられる耳を持つ必要があるのですが、音の高低や強弱を細部まで確実に聞き分けられるから本場の人さえ騙すほど完璧な発音が出来たのでしょうね。これから声優や俳優、歌手を目指す人は様々な音楽や演技を聴いて、耳をしっかり鍛えて欲しいですね。

そんな声優として高い実力と人気を持つ沢城みゆきさん。当然芸歴もその実力と比例するくらい長いのですが、まだ31歳と若いです。3代目不二子ちゃんに選ばれたときなどは20代半ばなのに、大人の女性の色気を完璧に表現されています。

デビューはなんと中学二年生のとき!しかも小さい頃から劇団に所属して子役として頑張ってきたとかではなくて、「デ・ジ・キャラット」というアニメの新人声優オーディションで審査員特別賞を受賞し準主役のプ・チ・キャラット役を射止めたのがきっかけでそのまま声優の道を歩むことに。

声優養成所に通っていたわけでもないし演技経験がない中での声優デビューでしたが、その後先輩声優の勧めを受けて声優事務所に所属。学業の傍ら付属養成所で己を磨きながら声優としてのお仕事を一切の間を置かずに続けられました。

2008年に大学を卒業されたのですが、在学中から主役級の役を何本もやっていてかなり忙しかったはず。その上今はもう退団されていますが、一時期劇団に所属して舞台俳優としても活動されていました。

「若いから体力もあるし乗り切れる。」の一言では賄いきれないほどアニメやゲーム、ナレーションなど活躍の場を問わず多くの作品に出演されているのは圧巻としか言いようがないです。そのストイックで職人肌な姿勢と演技力には憧れる後輩声優も多いし、演技指導を行うこともあるそうですよ。

小原乃梨子

小原さんといえば初代の野比のび太役で有名です。テレビアニメ放送当時から2005年のキャストリニューアルまで26年間も担当されましたので、リニューアルから10年以上経った今でものび太の声と言ったら小原さんの方を思い浮かべる人が大勢います。

のび太以外にも未来少年コナンのコナンやアルプスの少女ハイジのペーター、超電磁マシーンボルテスVの剛日吉など少年役として主役やレギュラーを担当されました。

現在とある家庭教師派遣会社のCMでアルプスの少女ハイジを扱っていますが、そこに出てくるペーターの声も変更することなく小原さんが演じてらっしゃいますよ。またのび太以上に有名な役がヤッターマンのドロンジョ様でしょう。

ドロンジョ様を演じた際のセクシーな声とコケティッシュな演技は作品の知名度と人気を上げるのに欠かせないものでしたし、それ故に担当した期間はのび太の方が圧倒的に長いにも関わらず周囲の人達からは未だに「ドロンジョ様」と呼ばれてらっしゃるそうですよ。

そのエピソードを笑って話されていますがご本人はいつドロンジョ様役の仕事が来てもいいように、当時の体型のまま維持し続けるという努力を怠らないほど強い思い入れをお持ちです。

その不断の努力と大勢のファンの声があってか、2008年に放送されたヤッターマンのリメイク版シリーズでも昭和版に引き続きドロンジョ様役を担当されました。実写映画版でもその縁で名前もない端役とはいえご出演されるなど、のび太と同等かそれ以上に縁が強く深い役であると言えるでしょう。

ドロンジョ様以外にもタイムボカンのムージョや逆転イッパツマンのムンムンなど、シリーズ恒例の三悪の女ボスを作品と役を越えて長年演じられました。その他にもうる星やつらのおユキのようなクールビューティーな役や、超時空要塞マクロスのクローディア・ラサールという常にユーモアと冷静さを忘れない女性将校役をナレーションと兼任で演じるなどどんな役もこなせる実力派大御所声優です。

2016年現在でも80歳というご高齢であるにも関わらず現役で活動されており、これからも匠の美技で素晴らしい演技を魅せて下さることでしょう。

小原乃梨子さんがお芝居の世界に飛び込んだのは児童劇団の頃から。法曹関係のお仕事に就いて欲しかったお父様のご期待に反して高校卒業と同時に放送界に飛び込み、女優としてテレビドラマで活躍されました。

女優のお仕事と並行して声優として当時は生放送で行うのが当たり前だった洋画吹き替えにも数多く参加されましたし、ジェーン・フォンダやクラウディア・カルディナーレ、ミレーヌ・ドモンジョなど伝説級の銀幕女優を専任で担当されていました。

特にミレーヌ・ドモンジョはドロンジョ様のモデルとなった人物なのだそうですよ。他にもアダムス・ファミリーや007などといった有名シリーズでも主役級の役を演じられました。ご結婚後は家族との時間をしっかり取れるよう声優業に専念されたのですが、その傍ら1988年から朗読家としても活動を開始。

自らが主催となってコンサートや朗読会を行うのはもちろん、大学や自治体に朗読の講師として呼ばれて全国を飛び回ることもしばしば。声優養成所で講師として後進を育成する際にも、童話や詩を教材として選び朗読を通してお芝居のイロハを伝えていらっしゃいます。

こんなに朗読に重きを置いていらっしゃるのは「童話や詩がわかれば人として優しくなれる。」という思いから。特に童話は素敵な人間になって欲しいという想いや教訓が込められた世界の共有財産です。

夜眠る前に親御さんに読んでもらった想い出が暖かいものとして心に残っている人も多いのではないでしょうか?小原さんは声優として長く生きていくためには「他者を思いやれる心」が1番大切だと考えていらっしゃるので、優しさが込められた童話とそれを伝えられる朗読家というお仕事を声優と同じくらい大切なライフワークとされているんですね。

それ以外にも有名美術館やバレエにオペラなど、本場の良いものを見るために海外へ旅に出て自らの感性を磨くことに惜しみがありません。

のび太役を勇退されたのを機にゆったり過ごされるのかと思いきや全然そんなことはなく、年齢や老いなどものともせずにこれからも声優として朗読家としてご自身が満足するところまで成長を続けられていくことでしょう。

野沢雅子

野沢さんはドラゴンボールシリーズの孫悟空やゲゲゲの鬼太郎(第1期及び2期)の鬼太郎そして銀河鉄道999の鉄郎など、どんな世代の人でも知っている役を演じられた“超”が何個も付くほど有名な大御所声優さんです。

声優業界創成期から活躍されている方でもあり、その頃から多くの作品で少年役を演じられてきました。当時は「少年役=女性」という現在では当たり前の風潮がなかったのですが、それを定着させたのが野沢さんだと言われています。

少年役以外ではワンピースのDr.くれはやふたりはプリキュアの雪城さなえなど中年女性や老婆の役も演じられており、その深い経験からくる渋い声と演技には思わず心が引き寄せられてしまいますよ。

特にドラゴンボールでは主役級のキャラクターを3役、映画やテレビスペシャルでのゲストキャラを合わせると6役も演じられています。1人が複数のキャラクターを演じる場合は1役ずつ別々に録音するのが基本ですが、野沢さんはそれをせずに担当キャラクターが同時に話す場面以外は瞬時に役を切り替えてそのまま収録に臨まれているんですよ。

役の切り替えは声の高低や抑揚などに変化を付けることで行うのですが、それぞれのキャラクターの生い立ちや性格を分析し特徴を捉え演じ分けるのは簡単なことではありません。その上収録を止めずにそのまま演じ通すなんて、プロでも難しいですよ。

あまりにも見事すぎるので困らせてやろうと思った映画版の脚本家さんが、野沢さんが担当しているキャラクター3人が会話するシーンをわざと増やしたことがあるそうです。でもそれにも関わらずケロリと何でもないことのように演じられたから逆に驚かされたし、共演者からも拍手喝采だったとか。

現在ドラゴンボールの新シリーズが放送されているのですが、主役級の3役の他に野沢さんが担当する新キャラクターが出てきました。もしかしたら今度は3キャラクターどころか4キャラクターでの会話があるのかもしれませんね、とても楽しみです。

ちなみに野沢さんが演じられている孫悟空は「声優が変わって欲しくないキャラランキング」の男性編で第1位で、原作者さんも「悟空の声は野沢さん以外有り得ない。」とおっしゃっているそうですよ。もちろん私も悟空の声は絶対に野沢さんでないと嫌なので、いつまでも悟空を演じていただきたいです。

そんな野沢雅子さんは声優業界創成期から活躍されていた他の声優さんと同じく、元々はドラマや舞台で活躍されていた俳優さんです。デビューが3歳のときで中学生のときから劇団に所属していたということなので、物心ついたときからずっと役者であると言ってもいいでしょう。

それ故に誰よりも芝居を愛し誰よりも芝居に厳しい方です。あらいぐまラスカルでラスカル役を射止めた際にはあらいぐまを理解するために10日間も動物園に通われるほど研究熱心ですし、戦闘シーンの収録の際には自身もポーズを取って演じているので足で踏ん張ったりしやすいようにパンツスタイルで臨まれています。

また新人時代は録音機材やアフレコ環境が整っていなかったため、誰かが間違えたら1番最初から取り直しだったそうです。その上生放送で声を当てることもあったのでNGを出さないように必死だったのにも関わらず、最近の若手が気軽にNGを出すため「緊張感が足りない。」と苦言を呈されることも少なくないとか。

さらに芝居というのは役者が1人変わるだけでも演出や演技を変更しなくてはならないので、突然の降板はもちろん体調不良による欠席だけでも自分以外の人全てに多大な労力を使わせてしまうものです。

声のみの演技だから別の日に収録しても大丈夫な声優ではなくお客さんの前で一発勝負の演技をする俳優出身だからこそ、「どんなことがあっても仕事に穴を開けるわけにはいかない。」という精神を誰よりも強くお持ちです。

体調が悪くても弱音を吐かないことは当たり前だし、もらい火で自宅が半焼した際にも近所の人に服を借りてスタジオに行ったほど。しかも火事のことは共演者どころかスタッフにも誰にもおっしゃらなかったそうです。

普通そんな大事件があってさらに原因が他人のせいとあっては心情的には仕事なんてやってられないし、誰かに愚痴を言いたいものですのに・・・。どんなことがあっても芝居に臨む姿勢を変えないタフさは常人では決して真似出来ません。

 

小林清志

小林清志さんといったら、次元ですよ!老いも若きも誰もが知っている国民的アニメであるルパン三世で、パイロット版から最新作までずっと主人公ルパン三世の名相棒である次元大介の声を演じられてきました。

ルパン三世の第1回の放送が1971年だから、2016年で45年目になりますね。2011年に主要キャスト陣が一新したのですが、小林さんは当時78歳というご高齢であったにも関わらず続投を表明。

83歳となった現在でも次元役を続けているどころか、CMやバラエティ番組などでナレーションを精力的に務められています。そのダンディな声と独特の語り口は唯一無二。あまりにも魅力的な声だから思わず他の出演者そっちのけで聞き惚れてしまったという人は多いのではないでしょうか?

次元以外の代表作は妖怪人間ベムのベムやスペースコブラのクリスタルボーイのような渋い役に定評があり、近年ではDEATH NOTEでワタリ役を演じられました。またアニメよりも洋画吹き替えでの活躍が多かった方で、ジェームズ・コバーンやリー・マーヴィンの吹き替えを専属で行っていました。

1番最初の声優ブームが1960年代始めの洋画吹き替えが盛んになった頃なのですが、その頃に多くの銀幕スターに声をあて声優という仕事の存在を世に知らしめてくださったからこそ声優業界の今日の発展があるのでしょう。

しかし小林さんは元々は声優ではなく俳優です。劇団に所属して舞台役者として活躍されていたのですが、英語が得意なので翻訳の仕事を任された際に吹き替えもやってみないかと誘われたのが声優としても活動されるきっかけでした。

同世代の大御所声優さんと同じく声優である前に俳優であったため、本当は声優と呼ばれるのはお嫌いらしく今でも職業欄には俳優と書かれていらっしゃるそうです。

近年の声優人気で舞台を経験せずに声優になる人は多くそれ自体は別に悪いことではないのですが、発声の際の力強さや距離感の掴み方そして表現力の大きさは舞台経験者の方が優れています。

そのためプロになっても人前で大きな舞台の上で演じることが大切だと考え、舞台やライヴで活躍されている声優さんは多いです。私も高校の演劇部レベルとはいえ舞台の勉強をしていた身としては、声優志望の方は1度でいいから大勢のお客さんの前で演じる経験をして欲しいですね。

御年83歳にも関わらずご活躍されている小林清志さんですが、その年齢でもより良く演じるために腹筋を鍛えたりご自分とマイクの位置にこだわるなど努力を惜しみません。

どんな人間も加齢により筋力が落ちるものなのに、若い人に引けを取らず堂々と演じるというのはかなり難しいはず。1日でも訓練をサボればあっという間に衰えてしまうし、マイクの位置1つとっても妥協してしまったら一気に聞き取りづらいものになってしまいますからね。

そんな衰え知らずの熱意の秘訣は「自分は永遠の65歳でありそこから先の年齢は意識していないこと」だそうです。声優にしても俳優にしても実年齢とは違う役を演じることが多々あるからいちいち歳を気にしても仕方ないのもありますが、その年齢にも負けないお芝居への貪欲さがいくつになってもお体と心を支えるのでしょうね。

特にご自分の代名詞とも言える次元役に関しては雑誌やネットのコラム記事でのインタビューで、「首から上は大丈夫だからくたばるまでやっていきたい。」「(演じ続けたいかと聞かれて)もちろん。愚問だよ。」と迷いなくおっしゃっていました。

私も元・声優志望そして1人の次元ファンとしては次元役はずっと変わらないでいてほしいから、少しでも長くお元気でいて欲しいです。そしてご年齢のことを考えると難しいのかもしれませんが、次元以外の役の声もナレーションのお仕事もたくさんお聞きしたいです。

 

日髙のり子

日髙さんはタッチやとなりのトトロなどで知られる人気ベテラン声優で、普段アニメを見ないような人やご年配の方でも日髙さんの声を聞いたことがあるという人は多いでしょう。

代表作はタッチの浅倉南やサクラ大戦シリーズのエリカ・フォンティーヌのような正統派ヒロイン。トップをねらえ!のタカヤノリコやらんま1/2の天道あかね、となりのトトロの草壁サツキのような明るく元気いっぱいな少女の役に、名探偵コナンの世良真純のようなボーイッシュな少女の役。

炎の闘球児ドッジ弾平の一撃弾平やピーターパンの冒険のピーターパンのような活発な少年役に、ふしぎの海のナディアのジャン・ロック・ラルティーグや赤ずきんチャチャのしいねちゃんのような落ち着いた少年役。DEATH NOTEのニアや爆走兄弟レッツ&ゴーの一文字烈矢のようなクールな少年に、るろうに剣心の瀬田宗次郎のようなミステリアスな青年。

スイートプリキュアのアフロディテやONEPIECEのベルメールのような大人の女性に、犬夜叉の桔梗のような神秘的な女性の役にPSYCHO-PASSのドミネーターのような機械の声など様々な役をこなせる確かな実力者の方です。

上記のようにアニメやゲームでの出演が多い方ですが、洋画吹き替えではチャーリーとチョコレート工場やGleeシリーズで主要キャラクターの吹き替えを担当。特撮では烈車戦隊トッキュウジャーでグリッタ嬢の吹き替えを担当し、バラエティー番組やプラネタリウム番組のナレーションなども担当されています。

またラジオパーソナリティとしても活躍されていて、1980年代から現在に至るまで何本ものラジオ番組でメインパーソナリティとしてリスナーにメッセージを届けてくださっています。

特に文化放送のアナウンサーである長谷川のび太さんと一緒にメインパーソナリティを務めている「ノン子とのび太のアニメスクランブル」は1991年の番組開始からずっと続いていますし、その放送期間は首都圏のアニメラジオ番組の中では最長寿です。

その間1度もパーソナリティーの変更は行われていないのですが、25年も休まずに続けられているのだからとてもすごいですよね。更に歌唱力にも定評があるためアニメやゲームの主題歌を担当されたり、ライヴを行ったりもされました。

歳を重ねてもその澄んだ声に衰えはなく、それどころかますます活躍のフィールドが広がっていらっしゃいます。これからも日髙さんの活躍に目が離せないし、その人気はまた更に増していくことでしょう。

性格は明けっぴろで明るく、漫画家の島本和彦さんから「便所の100W(必要以上に明るいという意味)」と呼ばれたこともあるほど元気な方です。

ご本人曰く演じた役の中で1番自分に近いのはらんま1/2の天道あかねであかねと同じくお父様が空手道場の師範で自身も空手経験があり、2人の弟さんと取っ組み合いのケンカをよくされていたので「まるで男の子みたい。」と言われることもあったとか。

小さい頃から女優志望で子役として活動を始められ、高校生のときには“いとうのりこ”名義で「ふたごのモンチッチ」の主題歌を歌いキャンペーン活動のために日本中を飛び回ったこともありました。

その後ふたごのモンチッチを発売したレコード会社の勧めでアイドルに転向。特撮モノのドラマにレギュラー出演されたり音楽番組でグループ活動を行うなど、ある程度はアイドルとして名前を知ってもらうことが出来ましたが売れることが出来なくてご両親からは引退するようにと勧告されてしまいます。

そんな中ラジオ番組でリスナーから「声に特徴があるので声優が向いているのでは?」と言われたことで声優という職業を意識することになり、超時空騎団サザンクロスのムジカ・ノヴァ役で声優デビュー。

その翌年に伝説の野球アニメである「タッチ」で浅倉南役を担当したことで声優としての知名度が上がりました。しかしそれまでの演劇経験が皆無であったため、デビュー直後は酷評される日々が続きます。

そのためオーディションで不合格になることも多々あったのですが、事務所のスタッフが気を使って酷評されていることを日髙さんに伝えなかったためそのときはまだ自身の演技力の低さに自覚がなかったそうです。

タッチでも音響監督や先輩声優から毎回厳しい指導を受けていらしたのですが、あまりの演技力の低さに耐えかねた先輩で上杉達也役の三ツ矢雄二さんが「下手糞!もっと僕の事を好きになってよ!」と大激怒。

そのときの日髙さんの演技では南が達也を好きだということが全然伝わってこないから、「もっと伝わるような演技をしてくれよ!」ということですね。このときに激怒されてショックを受けてしまいますが、ここで初めて自身の実力を自覚します。

また日髙さんがひと言話すたびにフィルムが止まって巻き戻す作業をしたり戻している間に首脳陣が話し込んだりということがあったため、「自分が加わったために迷惑をかけてしまっている。」と肌で感じてプレッシャーに押し潰れそうだったそうです。

それでもこのときの厳しい環境と指導により短期間で演技力が向上。現在に至るまで声優として長く活動していけるようになりました。タッチ収録時の経験に関して日髙さんは「鍛えていただいて感謝しています。」と自身のエッセイで語られていますし、のちに新人時代の山口勝平さんへ演技指導をする際にその経験が活かされたとか。

ちなみに三ツ矢さんとはテレビ番組で共演されたり共同で事務所を設立されるなど非常に良好な関係を築かれていますし、山口さんは今でも日髙さんには頭が上がらないそうですよ。

タッチの放送が終了した翌年に「トップをねらえ!」と「となりのトトロ」で主演を担当し一般の人からもアニメファンからも高い評価を得て、「これで声優としてやっていけるかも!」と思われた日髙のり子さん。

しかしそのため「でもあれだけ大きな役がヒットしちゃうと大変だね。」と事務所のマネージャー達に言われるようになってしまいました。大きな役で大々的にヒットしてしまうと、“あの声優=このキャラの声の人”というイメージが固まってしまって他の役が取りにくくなってしまうことがあるんですよ。

なのでどうしたらいいか考えた結果、「それまでの自分は女の子役が多かった。」ということで男の子役にチャレンジをすることに。

その後ウェンディ役で「ピーターパンの冒険」のオーディションを受けた際に面と向かってお願いする勇気がなかったそうなのですれ違いざまに小声で言う形になってしまいましたが、すぐに音響監督の方に聞いてもらえることになりその結果ピーターパン役を務めることになりました。

これは自身に付きまとっていた浅倉南のイメージを振り払うためだったそうですが、初の少年役でプレッシャーや不安と戦いながら収録されていたそうです。

それによりときには苦しむことがあったそうですがウェンディ役の松井菜桜子さんやフック船長役の大塚周夫さんに助けてもらい、「精一杯の演技で返したい!」と緊張感を持ちながら演じ最後まで立派に務めあげることが出来ました。

その後も「ふしぎの海のナディア」ではピーターパンとは違うジャンの静かな演技に苦労しながらも青年役を演じられるようになり、「ドッジ弾平」では小仏珍念役の野沢雅子さんから少年役を演じる際の心構えや感情の出し方を学ぶなど演技の幅を着々と広げていかれます。

それらの困難を持ち前の明るさと不屈の精神で乗り越えてきたため、声優業界では「現場で叩き上げられた成功例」「努力で這い上がった苦労人」であると語られていますよ。これからも日髙さんはそのときの経験を活かして声優業界の未来を担う若い才能達をときに優しくときに厳しく導かれていくことでしょう。

向井真理子

向井真理子さんは日本初のカラーアニメが放送された1965年から活躍されている超大御所声優の1人です。代表作は何といっても伝説のハリウッド女優マリリン・モンローでしょう。

専任の持ち役としてほとんどの作品でマリリン・モンローの吹き替えを担当し、その色っぽい声と演技に多くの人々が魅了されました。

担当になった当時の時点で既にマリリン・モンロー本人は亡くなっていたのですが、向井さんが演じることによってその類まれなる魅力が蘇り現在に至るまで多くの人の心に残ることが出来たのではないでしょうか。

その他には現在も「ベティさん」の愛称で親しまれている海外アニメの人気キャラクターベティ・ブープや、ポパイの実写版でヒロインのオリーブ役を担当するなど主に洋画吹き替えでご活躍。

もちろんアニメでも誰もが知っている役を演じられ、日本初の少女向けアニメである魔法使いサリーではサリーの親友のひとりである春日野すみれとサリーのママを兼任。Dr.スランプ アラレちゃんでは山吹(則巻)みどりを、人気ゲームスーパーマリオシリーズではピーチ姫を担当。

そしてドラゴンボールシリーズのブルマの母やあさりちゃんの浜野さんごなど、お母さん役を多く演じられました。特に山吹みどりはマリリン・モンローをモデルにしたというキャラですので声の担当は向井さん以外あり得なかったでしょうし、浜野さんごはそれまでの役とは違って厳しい性格の役だったので初めて聞いたときにビックリした人が多かったそうです。

そんな声優史に残るような大役を長年に渡って演じられた功績が認められ、2007年に第1回目の声優アワードで功労賞を受賞。78歳となった現在でも現役で活躍する傍ら後進の育成にも力を入れており、都心のだけでなく新幹線に乗って地方の養成所や専門学校へ出かけられることも多々あります。

その教育熱心な心と優しく穏やかな眼差しで、成長し続ける若い声優の卵達や声優界をいつまでも温かく見守っていってくださることでしょう。

マリリン・モンローの吹き替え声優として多くの人々を魅了してきた向井真理子さんですが、最初から色っぽい演技が出来ていたわけではありません。

現にマリリン・モンローを演じる前は当時のマネージャーから「1番色気がない女優」と言われていたとか。そこでマネージャーが「とにかく色気がないってことは将来性がない。将来主役をやるには色気が大事だ。」ということで取ってきたお仕事が、“億万長者と結婚する方法”という海外のテレビドラマの主役の吹き替えです。

こちらの作品で担当することになったのはバーバラ・イーデンという女優ですが、この作品のオリジナルで映画作品である“百万長者と結婚する方法”ではマリリン・モンローが同じ役を演じていました。

テレビ局側は向井さんを紹介された際に「あの子は色気がないから、主役なんてとんでもない!」と断っていたそうですが、マネージャーがゴマをすったりと色々やって半ば強引に取ってきたそうです。

そんな背景もあったので「この役を失敗したら僕はもう面倒見ないし、業界も辞めた方がいいよ。」と言われてしまいました。そうは言っても色気なんて考えてわかるものでもないし、先輩に聞いてもなかなか的確なアドバイスをもらえません。

私も専門学校時代に同じことで悩みましたが、講師の先生に聞いても「大人になったらわかるよ。」で終わってしまったんですよね・・・。まあ、恐らく色気というのは考えて出るものではないものなのでしょうから誰も何とも言えないのかもしれません。

それでも向井さんの場合は収録日がだんだん近づいて来るし将来のためにもどうにかするしかありませんでしたが、毎日悩んで悩んで試行錯誤していたある日隣の家からお母さんに甘える赤ちゃんの声が聞こえてきました。

その声を聞いて「ああいう感じかな・・・。」とインスピレーションを受け、怒られるのを覚悟しながら収録に挑んだら「なんか色っぽいじゃん!」と大絶賛。それから最終回まで無事に役を全う出来ましたし、後に“百万長者と結婚する方法”の方でもマリリン・モンローの吹き替えを担当することになりました。

それから何年も経って専門学校の講師として教壇に立たれた際に「“諦めない”、その先に奇跡がある。」と語っていらしたのですが、このときの経験から得たことなのかもしれませんね。

またマリリン・モンローはしゃべっていないときでも口を半開きにしていることが多いのでタイミングを合わせるのが一苦労だし、声も少年のように低かったため彼女らしさを出すのが難しかったそうです。

そもそもマリリン・モンロー自体がインタビュー内容や公開されている私生活全てに台本があったという非常に謎に包まれた人物でしたしね。

その上初めて吹き替えを担当された作品はスカートのシーンが有名な「七年目の浮気」や「お熱いのがお好き」のようなマリリン・モンローらしさが出た軽快な作品ではなく、「荒馬と女」というシリアスな作品だったので尚更イメージするのが大変でした。

その際にもとても悩まれたそうですが演出さんの「向井真理子として演じていい。」という一言で吹っ切れて、最後までやりきれたそうですよ。

それからずっと専任としてマリリン・モンローの吹き替えを担当することになるのですが、今度はイメージ作りの一環で「マリリン・モンロー以外はダメ」というお達しが来てしまいました。

「マリリン・モンロー=向井真理子」というイメージが強くなりすぎてしまった故ですね。それにより他の俳優に声をあてることが出来なくなってしまったので「どうして私にはマリリン・モンローだけなの?」と思われた時期にあったとか。

とはいえそれほどの持ち役が出来るのは役者冥利に尽きることだし、50年近くも続けられているのだからとても素晴らしいことだと思います。

神谷明

神谷さんは1970年から活躍されている大御所声優で第二次声優ブームの立役者の1人です。声優業界の歴史を語るにあたっては外せない人物であると言ってもいいでしょう。

代表的な役はキン肉マンのキン肉スグルや北斗の拳のケンシロウ、シティーハンター及びエンジェルハートの冴羽獠などその経歴に相応しいものばかり。アニメについて詳しくない人やある程度お年を召した方でもその美声に聞き覚えがある方は多いはずです。

特に冴羽獠役は1番のお気に入りで「ケンシロウのような二枚目の演技もキン肉スグルのような三枚目の演技も全て受け入れてくれる。」とおっしゃっており、自らが立ち上げられた個人事務所の名前としても使われています。

またゲッターロボシリーズの流竜馬や勇者ライディーンのひびき洸、闘将ダイモスの竜崎一矢といったロボットアニメの主人公の役に多く抜擢。必殺技を叫ぶセリフが多かったことから業界内の一部からは「叫びの神谷」と呼ばれるようになり、「ロボットアニメの主人公なら神谷明を使っておけ」という風潮もあったとか。

ご本人もその叫びのセリフには強いこだわりがありロボットもののアニメキャラが多数参加する人気ゲームでは「ゲームだから1番いい声を残したい」ということで、流竜馬の決め台詞である「ゲッタービーム!」を30回も言い直したことがあります。

他にはドカベンの里中智のような線の細い美少年役に、うる星やつらの面堂終太郎やめぞん一刻の三鷹瞬のようなナルシストな二枚目半の役。モーレツア太郎のニャロメのようなマスコットキャラや美少女戦士セーラームーンSの土萠創一のような怪しい悪役。

超時空要塞マクロスのロイ・フォッカーや名探偵コナンの毛利小五郎(初代)のような渋い役など、どんな役でもこなせる非常に芸達者な方です。

洋画吹き替えでも活躍されていてピアーズ・ブロスナンの吹き替えを専任で担当したほか、007やスターウォーズといった有名シリーズで主役の吹き替えを担当。

CMや番組のナレーションを務めることも多く、特に東京ドームシティアトラクションズ(旧名・後楽園ゆうえんち)のヒーローショーのCMナレーションを20年にも渡って担当されましたので聞き覚えがある方も多いと思います。

他にも有名ラジオ番組であるオールナイトニッポンで声優として初めてレギュラーパーソナリティーを務めたり、オレたちひょうきん族という伝説のバラエティ番組の1コーナーで司会を務めるなどその活躍は声優のみに留まらず多岐に渡っています。

若い人でも知っているような伝説級のキャラを持ち役にしている神谷さんですが、現役であるにも関わらず一部の役は後輩に譲っていたりもされています。

北斗の拳の後日を描いた作品やゲームやパチンコ台のケンシロウ役は複数の後輩声優が演じていますし、名探偵コナンの毛利小五郎役が2代目の小山力也さんに変わったときには突然のことだったので騒ぎになりました。

もちろんどれも思い入れのある役ですし実力が落ちたわけではないので神谷さんがそのまま演じたいのはやまやまではあるのですが、これらは番組の制作費の問題で仕方がないことだそうです。

声優の出演料というのは番組の制作費の中から出されるもので実際に出演した声優が手にする金額は所属する事務所のシステムによって微妙に違いますが、アニメ作品への出演においてはキャリアによって金額が変わってくる“ランク制”が適用されています。

そしてキャリアが高ければ高いほど出演料が高くなるのですが、神谷さんほどのキャリアや実力及び知名度がある方ならその出演料は一番高いランクのものになります。

よって「やりたい役だから自らが受け取る出演料を下げてもいいから出たい!」というようなことをしたら、その分他の出演者が受け取る出演料も下げることになってしまうので役を譲るようなことが出てきてしまうのですね。

声優界を最前線で引っ張ってきたからこそキャリアが上がってしまったわけですし、1980年代から声優の地位や収入の向上のために尽力された方ですので尚更無理に出演することが出来ないという事情もあります。

この問題は神谷さんだけに起こっていることではないですが、少なくても今の声優業界の出演料のシステムが変わらない限りはどうしても仕方のないことです。

しかしそれでも往年のファンや原作者からの「このキャラの声は神谷さんでなくてはならない!」という強い声はいつまで経っても健在で、予算が十分に確保されている作品では引き続き自らの持ち役を担当されていますよ。

私としても冴羽獠やキン肉スグルは神谷さんでなければ嫌なので、可能な限り演じていただきたいです。

また神谷明さんはテアトル・エコーという半世紀以上続いている大手の劇団出身で初代ルパン三世の山田康雄さんや初代銭形警部の納谷悟朗さん、名探偵ポワロの熊倉一雄さんの直属の後輩であり教え子であると自負されています。

冴羽獠も毛利小五郎もキン肉スグルもこのお三方の演技を参考にされたもので、その教えやずっと見てきた姿が今も神谷さんの演技の中に生きているのでしょう。

しかし3人の師匠の「声優は俳優という仕事の一部に過ぎない。」という価値観とは違い、神谷さんは「声優は専門的な職業である。」と独立した1つの職業として考えていらっしゃいます。

もちろんどちらが正解でどちらが間違いであるということはないのですが、それだけ声優という仕事を愛して誇りに思っていらっしゃるということですね。

その強く深い想いゆえに後進の育成にも尽力されていて専門学校の声優コースで長年に渡って教鞭を取られています。その中には新谷良子さんや清水愛さんなど既にプロとして活躍されている方もいらっしゃいますよ。

これからも前線で現役声優として後方で育成者として、長く続いていく声優業界を支え続けていかれることでしょう。声優業界にとってなくてはならない方ですので、いつまでも元気に活躍していただきたいと思います。