塩沢兼人

塩沢さんは第2次声優ブーム初期の1975年から活躍されていたベテラン声優。北斗の拳や機動戦士ガンダム、聖闘士星矢など昭和を代表する超人気アニメにご出演されていたので、声優に疎い中年以上の方でも塩沢さんの声ならば聞き覚えがあるのではないでしょうか。

高めの独特の色気のようなものをまとった美声の持ち主で代表的な役には北斗の拳のレイや聖闘士星矢の牡羊座のムウのような正統派美青年の役や、名探偵コナンの白鳥警部のようなちょっとキザな役があります。

またその声には機動戦士ガンダムのマ・クベやメタルギアソリッドシリーズのグレイ・フォックスのような冷酷で狡猾な美形悪役によく似合い、その分野で塩沢さんの右に出る者はいませんでした。かといってコメディチックな演技も可能で、ハイスクール奇面組の諸星大やクレヨンしんちゃんの映画では「もう女性なんじゃないか?」と思うくらい見事なオカマを熱演。

特にクレヨンしんちゃんでぶりぶりざえもんという豚を演じた際には想像以上のハマりっぷりと面白さに、共演者やスタッフ全員が第一声を聞いた瞬間から度肝を抜かれたそうですよ。

塩沢さんの代表的な役としてぶりぶりざえもんを挙げる人も多いのではないでしょうか。洋画吹き替えでも活躍されていて、スターウォーズやシザーハンズなどの大ヒット作で主演の吹き替えも担当されました。

そんな塩沢さんが役者を目指し始めたのは少年時代から。中学生時代には元々学校に演劇部がなかったのにも関わらず自ら結成して活動するほど、若い頃からお芝居への強い情熱をお持ちでした。

大学は演劇科があるところに進学されたのですが、高校もそこへ進学することを見越して選んだほど。その念願が叶って大学在学中からタイムボカンシリーズで端役としてデビュー。

それと同時に俳優として舞台にも出演されていたのですが、次第に声のみの仕事が増え声優として専門でお仕事をされるようになりました。

その人気は平成の世になり2000年代になっても衰えず、キャリアも積んでまさに脂が乗り切っていたのですが・・・。2000年5月、不慮の事故で突然この世を去ってしまいました。業界やファンの間で衝撃が走ったのはもちろん、声優ファン以外にも名前を知られた存在だったため翌日の朝からニュース番組で速報が流れていましたね。

たくさんの代表作に恵まれていた方でしたしレギュラーも多く抱えていらした中での突然の訃報だったので、日本中が涙しましたし18年経った現在でもその死は惜しまれています。

声優も俳優も担当していた者が亡くなったら代役を立てるのが普通です。塩沢さんが亡くなったときも多くの声優さんがその役を引き継ぎました。しかし「このキャラクターの声はどうしても塩沢さんじゃなくてはいけない!」という、原作者や製作陣やファンからの強い要望により代役を立てなかった作品も多くあります。

スーパーロボット大戦シリーズでは過去の塩沢さんの声を録音しておいたものを使ったり、ギルティギアシリーズでは塩沢さんが担当していたキャラクターが続編にも登場予定だったにも関わらず急遽死亡する結末に書き換えられたり。

登場させる予定はなかったのに塩沢さんが演じていたキャラクターを過去に録音していたものを使用することでわざわざ再登場させ、追悼の意を表した作品もありました。

さらに誰もがよく知っているクレヨンしんちゃんのぶりぶりざえもんは姿は表すのですが、「過去の音源から声を拾い集めて使うのも塩沢さんに対して失礼である。」という強い想いから登場させる際にはセリフや声が出ない設定で話を作るほど徹底。

原作でも大人気で活躍が期待されているキャラクターなのに全く喋らないのはおかしな話ですが、ファンも塩沢さんでないと納得出来ないという気持ちが強かったためそれに異を唱える人は誰もいませんでしたね。

そのいつまでも続くであろう永久欠番状態は、連載25周年及び塩沢さんのご逝去から16年の節目を迎えた2016年5月まで続きました。二代目として人気声優の神谷浩史さんが継ぐことが決まった際には、ネットニュースに載るなど大変話題になりましたよ。

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