沢城みゆき

沢城みゆきさんといえば押しも押されぬ超人気声優です。近年の人気声優ランキングでは必ずトップテン以上に入っていて、毎年行われている声優アワードというその年に最も声優業界の発展に尽力した声優にのみ送られる賞では主演や助演で何度も受賞されています。

代表作として挙げられるものはとても多く、また役の幅もとても広いです。一例を挙げるとべるぜバブのベル坊といった赤ん坊役にしあわせソウのオコジョさんのコジョピーといったマスコットキャラ、ローゼンメイデンの真紅のような可愛い女の子。

化物語の神原駿河のようなボーイッシュな女の子にHUNTER×HUNTERのクラピカのような青年役、デュラララ!!!のセルティのような大人の女性からダンガンロンパシリーズの腐川冬子のようなサイコな役など幅広く演じられる芸達者な方です。

セクシーな役も多く演じられ特に2011年にルパン三世のレギュラーキャラが総入れ替えになった際に、峰不二子役を増山江威子さんから受け継いで3代目不二子ちゃんとなったのはあまりにも有名。

またアニメやゲームだけではなくナレーションでも活躍されていて、櫻井・有吉THE夜会や報道ステーションといった大型番組のナレーションを行うなど声優ファンじゃなくても彼女の声を聞いたことがない人はいないでしょう。

その圧倒的な実力と高い人気ゆえに出演作はかなり多く、人気アニメやゲームでは必ずと言っていいほどキャスト欄で名前を目にしますね。休日や寝ている暇がないのではないかと思うくらい、今最も多くの作品に出演している女性声優の1人であるといってもいいでしょう。

また大学の外国語科出身なため、英語がかなり堪能。戦姫絶唱シンフォギアやレジェンズ~甦る竜王伝説~では英語のセリフを話していたり、イベントや声優アワードで海外ファン賞を受賞した際には英語でスピーチを行っていました。

それ故もちろん洋画吹き替えのお仕事も多いです。その発音は本格的で人気ゲームストリートファイターⅣの英語吹き替え版製作の際参考のために沢城さんが演じていたときの声をスタジオで流したのですが、本格的すぎて現地の外国人声優が指示前に勝手に演技を始めたのかと勘違いさせるほど。

声優は言葉を正確に話すためにイントネーションやアクセントを聞き分けられる耳を持つ必要があるのですが、音の高低や強弱を細部まで確実に聞き分けられるから本場の人さえ騙すほど完璧な発音が出来たのでしょうね。これから声優や俳優、歌手を目指す人は様々な音楽や演技を聴いて、耳をしっかり鍛えて欲しいですね。

そんな声優として高い実力と人気を持つ沢城みゆきさん。当然芸歴もその実力と比例するくらい長いのですが、まだ31歳と若いです。3代目不二子ちゃんに選ばれたときなどは20代半ばなのに、大人の女性の色気を完璧に表現されています。

デビューはなんと中学二年生のとき!しかも小さい頃から劇団に所属して子役として頑張ってきたとかではなくて、「デ・ジ・キャラット」というアニメの新人声優オーディションで審査員特別賞を受賞し準主役のプ・チ・キャラット役を射止めたのがきっかけでそのまま声優の道を歩むことに。

声優養成所に通っていたわけでもないし演技経験がない中での声優デビューでしたが、その後先輩声優の勧めを受けて声優事務所に所属。学業の傍ら付属養成所で己を磨きながら声優としてのお仕事を一切の間を置かずに続けられました。

2008年に大学を卒業されたのですが、在学中から主役級の役を何本もやっていてかなり忙しかったはず。その上今はもう退団されていますが、一時期劇団に所属して舞台俳優としても活動されていました。

「若いから体力もあるし乗り切れる。」の一言では賄いきれないほどアニメやゲーム、ナレーションなど活躍の場を問わず多くの作品に出演されているのは圧巻としか言いようがないです。そのストイックで職人肌な姿勢と演技力には憧れる後輩声優も多いし、演技指導を行うこともあるそうですよ。

小原乃梨子

小原さんといえば初代の野比のび太役で有名です。テレビアニメ放送当時から2005年のキャストリニューアルまで26年間も担当されましたので、リニューアルから10年以上経った今でものび太の声と言ったら小原さんの方を思い浮かべる人が大勢います。

のび太以外にも未来少年コナンのコナンやアルプスの少女ハイジのペーター、超電磁マシーンボルテスVの剛日吉など少年役として主役やレギュラーを担当されました。

現在とある家庭教師派遣会社のCMでアルプスの少女ハイジを扱っていますが、そこに出てくるペーターの声も変更することなく小原さんが演じてらっしゃいますよ。またのび太以上に有名な役がヤッターマンのドロンジョ様でしょう。

ドロンジョ様を演じた際のセクシーな声とコケティッシュな演技は作品の知名度と人気を上げるのに欠かせないものでしたし、それ故に担当した期間はのび太の方が圧倒的に長いにも関わらず周囲の人達からは未だに「ドロンジョ様」と呼ばれてらっしゃるそうですよ。

そのエピソードを笑って話されていますがご本人はいつドロンジョ様役の仕事が来てもいいように、当時の体型のまま維持し続けるという努力を怠らないほど強い思い入れをお持ちです。

その不断の努力と大勢のファンの声があってか、2008年に放送されたヤッターマンのリメイク版シリーズでも昭和版に引き続きドロンジョ様役を担当されました。実写映画版でもその縁で名前もない端役とはいえご出演されるなど、のび太と同等かそれ以上に縁が強く深い役であると言えるでしょう。

ドロンジョ様以外にもタイムボカンのムージョや逆転イッパツマンのムンムンなど、シリーズ恒例の三悪の女ボスを作品と役を越えて長年演じられました。その他にもうる星やつらのおユキのようなクールビューティーな役や、超時空要塞マクロスのクローディア・ラサールという常にユーモアと冷静さを忘れない女性将校役をナレーションと兼任で演じるなどどんな役もこなせる実力派大御所声優です。

2016年現在でも80歳というご高齢であるにも関わらず現役で活動されており、これからも匠の美技で素晴らしい演技を魅せて下さることでしょう。

小原乃梨子さんがお芝居の世界に飛び込んだのは児童劇団の頃から。法曹関係のお仕事に就いて欲しかったお父様のご期待に反して高校卒業と同時に放送界に飛び込み、女優としてテレビドラマで活躍されました。

女優のお仕事と並行して声優として当時は生放送で行うのが当たり前だった洋画吹き替えにも数多く参加されましたし、ジェーン・フォンダやクラウディア・カルディナーレ、ミレーヌ・ドモンジョなど伝説級の銀幕女優を専任で担当されていました。

特にミレーヌ・ドモンジョはドロンジョ様のモデルとなった人物なのだそうですよ。他にもアダムス・ファミリーや007などといった有名シリーズでも主役級の役を演じられました。ご結婚後は家族との時間をしっかり取れるよう声優業に専念されたのですが、その傍ら1988年から朗読家としても活動を開始。

自らが主催となってコンサートや朗読会を行うのはもちろん、大学や自治体に朗読の講師として呼ばれて全国を飛び回ることもしばしば。声優養成所で講師として後進を育成する際にも、童話や詩を教材として選び朗読を通してお芝居のイロハを伝えていらっしゃいます。

こんなに朗読に重きを置いていらっしゃるのは「童話や詩がわかれば人として優しくなれる。」という思いから。特に童話は素敵な人間になって欲しいという想いや教訓が込められた世界の共有財産です。

夜眠る前に親御さんに読んでもらった想い出が暖かいものとして心に残っている人も多いのではないでしょうか?小原さんは声優として長く生きていくためには「他者を思いやれる心」が1番大切だと考えていらっしゃるので、優しさが込められた童話とそれを伝えられる朗読家というお仕事を声優と同じくらい大切なライフワークとされているんですね。

それ以外にも有名美術館やバレエにオペラなど、本場の良いものを見るために海外へ旅に出て自らの感性を磨くことに惜しみがありません。

のび太役を勇退されたのを機にゆったり過ごされるのかと思いきや全然そんなことはなく、年齢や老いなどものともせずにこれからも声優として朗読家としてご自身が満足するところまで成長を続けられていくことでしょう。

野沢雅子

野沢さんはドラゴンボールシリーズの孫悟空やゲゲゲの鬼太郎(第1期及び2期)の鬼太郎そして銀河鉄道999の鉄郎など、どんな世代の人でも知っている役を演じられた“超”が何個も付くほど有名な大御所声優さんです。

声優業界創成期から活躍されている方でもあり、その頃から多くの作品で少年役を演じられてきました。当時は「少年役=女性」という現在では当たり前の風潮がなかったのですが、それを定着させたのが野沢さんだと言われています。

少年役以外ではワンピースのDr.くれはやふたりはプリキュアの雪城さなえなど中年女性や老婆の役も演じられており、その深い経験からくる渋い声と演技には思わず心が引き寄せられてしまいますよ。

特にドラゴンボールでは主役級のキャラクターを3役、映画やテレビスペシャルでのゲストキャラを合わせると6役も演じられています。1人が複数のキャラクターを演じる場合は1役ずつ別々に録音するのが基本ですが、野沢さんはそれをせずに担当キャラクターが同時に話す場面以外は瞬時に役を切り替えてそのまま収録に臨まれているんですよ。

役の切り替えは声の高低や抑揚などに変化を付けることで行うのですが、それぞれのキャラクターの生い立ちや性格を分析し特徴を捉え演じ分けるのは簡単なことではありません。その上収録を止めずにそのまま演じ通すなんて、プロでも難しいですよ。

あまりにも見事すぎるので困らせてやろうと思った映画版の脚本家さんが、野沢さんが担当しているキャラクター3人が会話するシーンをわざと増やしたことがあるそうです。でもそれにも関わらずケロリと何でもないことのように演じられたから逆に驚かされたし、共演者からも拍手喝采だったとか。

現在ドラゴンボールの新シリーズが放送されているのですが、主役級の3役の他に野沢さんが担当する新キャラクターが出てきました。もしかしたら今度は3キャラクターどころか4キャラクターでの会話があるのかもしれませんね、とても楽しみです。

ちなみに野沢さんが演じられている孫悟空は「声優が変わって欲しくないキャラランキング」の男性編で第1位で、原作者さんも「悟空の声は野沢さん以外有り得ない。」とおっしゃっているそうですよ。もちろん私も悟空の声は絶対に野沢さんでないと嫌なので、いつまでも悟空を演じていただきたいです。

そんな野沢雅子さんは声優業界創成期から活躍されていた他の声優さんと同じく、元々はドラマや舞台で活躍されていた俳優さんです。デビューが3歳のときで中学生のときから劇団に所属していたということなので、物心ついたときからずっと役者であると言ってもいいでしょう。

それ故に誰よりも芝居を愛し誰よりも芝居に厳しい方です。あらいぐまラスカルでラスカル役を射止めた際にはあらいぐまを理解するために10日間も動物園に通われるほど研究熱心ですし、戦闘シーンの収録の際には自身もポーズを取って演じているので足で踏ん張ったりしやすいようにパンツスタイルで臨まれています。

また新人時代は録音機材やアフレコ環境が整っていなかったため、誰かが間違えたら1番最初から取り直しだったそうです。その上生放送で声を当てることもあったのでNGを出さないように必死だったのにも関わらず、最近の若手が気軽にNGを出すため「緊張感が足りない。」と苦言を呈されることも少なくないとか。

さらに芝居というのは役者が1人変わるだけでも演出や演技を変更しなくてはならないので、突然の降板はもちろん体調不良による欠席だけでも自分以外の人全てに多大な労力を使わせてしまうものです。

声のみの演技だから別の日に収録しても大丈夫な声優ではなくお客さんの前で一発勝負の演技をする俳優出身だからこそ、「どんなことがあっても仕事に穴を開けるわけにはいかない。」という精神を誰よりも強くお持ちです。

体調が悪くても弱音を吐かないことは当たり前だし、もらい火で自宅が半焼した際にも近所の人に服を借りてスタジオに行ったほど。しかも火事のことは共演者どころかスタッフにも誰にもおっしゃらなかったそうです。

普通そんな大事件があってさらに原因が他人のせいとあっては心情的には仕事なんてやってられないし、誰かに愚痴を言いたいものですのに・・・。どんなことがあっても芝居に臨む姿勢を変えないタフさは常人では決して真似出来ません。

 

小林清志

小林清志さんといったら、次元ですよ!老いも若きも誰もが知っている国民的アニメであるルパン三世で、パイロット版から最新作までずっと主人公ルパン三世の名相棒である次元大介の声を演じられてきました。

ルパン三世の第1回の放送が1971年だから、2016年で45年目になりますね。2011年に主要キャスト陣が一新したのですが、小林さんは当時78歳というご高齢であったにも関わらず続投を表明。

83歳となった現在でも次元役を続けているどころか、CMやバラエティ番組などでナレーションを精力的に務められています。そのダンディな声と独特の語り口は唯一無二。あまりにも魅力的な声だから思わず他の出演者そっちのけで聞き惚れてしまったという人は多いのではないでしょうか?

次元以外の代表作は妖怪人間ベムのベムやスペースコブラのクリスタルボーイのような渋い役に定評があり、近年ではDEATH NOTEでワタリ役を演じられました。またアニメよりも洋画吹き替えでの活躍が多かった方で、ジェームズ・コバーンやリー・マーヴィンの吹き替えを専属で行っていました。

1番最初の声優ブームが1960年代始めの洋画吹き替えが盛んになった頃なのですが、その頃に多くの銀幕スターに声をあて声優という仕事の存在を世に知らしめてくださったからこそ声優業界の今日の発展があるのでしょう。

しかし小林さんは元々は声優ではなく俳優です。劇団に所属して舞台役者として活躍されていたのですが、英語が得意なので翻訳の仕事を任された際に吹き替えもやってみないかと誘われたのが声優としても活動されるきっかけでした。

同世代の大御所声優さんと同じく声優である前に俳優であったため、本当は声優と呼ばれるのはお嫌いらしく今でも職業欄には俳優と書かれていらっしゃるそうです。

近年の声優人気で舞台を経験せずに声優になる人は多くそれ自体は別に悪いことではないのですが、発声の際の力強さや距離感の掴み方そして表現力の大きさは舞台経験者の方が優れています。

そのためプロになっても人前で大きな舞台の上で演じることが大切だと考え、舞台やライヴで活躍されている声優さんは多いです。私も高校の演劇部レベルとはいえ舞台の勉強をしていた身としては、声優志望の方は1度でいいから大勢のお客さんの前で演じる経験をして欲しいですね。

御年83歳にも関わらずご活躍されている小林清志さんですが、その年齢でもより良く演じるために腹筋を鍛えたりご自分とマイクの位置にこだわるなど努力を惜しみません。

どんな人間も加齢により筋力が落ちるものなのに、若い人に引けを取らず堂々と演じるというのはかなり難しいはず。1日でも訓練をサボればあっという間に衰えてしまうし、マイクの位置1つとっても妥協してしまったら一気に聞き取りづらいものになってしまいますからね。

そんな衰え知らずの熱意の秘訣は「自分は永遠の65歳でありそこから先の年齢は意識していないこと」だそうです。声優にしても俳優にしても実年齢とは違う役を演じることが多々あるからいちいち歳を気にしても仕方ないのもありますが、その年齢にも負けないお芝居への貪欲さがいくつになってもお体と心を支えるのでしょうね。

特にご自分の代名詞とも言える次元役に関しては雑誌やネットのコラム記事でのインタビューで、「首から上は大丈夫だからくたばるまでやっていきたい。」「(演じ続けたいかと聞かれて)もちろん。愚問だよ。」と迷いなくおっしゃっていました。

私も元・声優志望そして1人の次元ファンとしては次元役はずっと変わらないでいてほしいから、少しでも長くお元気でいて欲しいです。そしてご年齢のことを考えると難しいのかもしれませんが、次元以外の役の声もナレーションのお仕事もたくさんお聞きしたいです。

 

日髙のり子

日髙さんはタッチやとなりのトトロなどで知られる人気ベテラン声優で、普段アニメを見ないような人やご年配の方でも日髙さんの声を聞いたことがあるという人は多いでしょう。

代表作はタッチの浅倉南やサクラ大戦シリーズのエリカ・フォンティーヌのような正統派ヒロイン。トップをねらえ!のタカヤノリコやらんま1/2の天道あかね、となりのトトロの草壁サツキのような明るく元気いっぱいな少女の役に、名探偵コナンの世良真純のようなボーイッシュな少女の役。

炎の闘球児ドッジ弾平の一撃弾平やピーターパンの冒険のピーターパンのような活発な少年役に、ふしぎの海のナディアのジャン・ロック・ラルティーグや赤ずきんチャチャのしいねちゃんのような落ち着いた少年役。DEATH NOTEのニアや爆走兄弟レッツ&ゴーの一文字烈矢のようなクールな少年に、るろうに剣心の瀬田宗次郎のようなミステリアスな青年。

スイートプリキュアのアフロディテやONEPIECEのベルメールのような大人の女性に、犬夜叉の桔梗のような神秘的な女性の役にPSYCHO-PASSのドミネーターのような機械の声など様々な役をこなせる確かな実力者の方です。

上記のようにアニメやゲームでの出演が多い方ですが、洋画吹き替えではチャーリーとチョコレート工場やGleeシリーズで主要キャラクターの吹き替えを担当。特撮では烈車戦隊トッキュウジャーでグリッタ嬢の吹き替えを担当し、バラエティー番組やプラネタリウム番組のナレーションなども担当されています。

またラジオパーソナリティとしても活躍されていて、1980年代から現在に至るまで何本ものラジオ番組でメインパーソナリティとしてリスナーにメッセージを届けてくださっています。

特に文化放送のアナウンサーである長谷川のび太さんと一緒にメインパーソナリティを務めている「ノン子とのび太のアニメスクランブル」は1991年の番組開始からずっと続いていますし、その放送期間は首都圏のアニメラジオ番組の中では最長寿です。

その間1度もパーソナリティーの変更は行われていないのですが、25年も休まずに続けられているのだからとてもすごいですよね。更に歌唱力にも定評があるためアニメやゲームの主題歌を担当されたり、ライヴを行ったりもされました。

歳を重ねてもその澄んだ声に衰えはなく、それどころかますます活躍のフィールドが広がっていらっしゃいます。これからも日髙さんの活躍に目が離せないし、その人気はまた更に増していくことでしょう。

性格は明けっぴろで明るく、漫画家の島本和彦さんから「便所の100W(必要以上に明るいという意味)」と呼ばれたこともあるほど元気な方です。

ご本人曰く演じた役の中で1番自分に近いのはらんま1/2の天道あかねであかねと同じくお父様が空手道場の師範で自身も空手経験があり、2人の弟さんと取っ組み合いのケンカをよくされていたので「まるで男の子みたい。」と言われることもあったとか。

小さい頃から女優志望で子役として活動を始められ、高校生のときには“いとうのりこ”名義で「ふたごのモンチッチ」の主題歌を歌いキャンペーン活動のために日本中を飛び回ったこともありました。

その後ふたごのモンチッチを発売したレコード会社の勧めでアイドルに転向。特撮モノのドラマにレギュラー出演されたり音楽番組でグループ活動を行うなど、ある程度はアイドルとして名前を知ってもらうことが出来ましたが売れることが出来なくてご両親からは引退するようにと勧告されてしまいます。

そんな中ラジオ番組でリスナーから「声に特徴があるので声優が向いているのでは?」と言われたことで声優という職業を意識することになり、超時空騎団サザンクロスのムジカ・ノヴァ役で声優デビュー。

その翌年に伝説の野球アニメである「タッチ」で浅倉南役を担当したことで声優としての知名度が上がりました。しかしそれまでの演劇経験が皆無であったため、デビュー直後は酷評される日々が続きます。

そのためオーディションで不合格になることも多々あったのですが、事務所のスタッフが気を使って酷評されていることを日髙さんに伝えなかったためそのときはまだ自身の演技力の低さに自覚がなかったそうです。

タッチでも音響監督や先輩声優から毎回厳しい指導を受けていらしたのですが、あまりの演技力の低さに耐えかねた先輩で上杉達也役の三ツ矢雄二さんが「下手糞!もっと僕の事を好きになってよ!」と大激怒。

そのときの日髙さんの演技では南が達也を好きだということが全然伝わってこないから、「もっと伝わるような演技をしてくれよ!」ということですね。このときに激怒されてショックを受けてしまいますが、ここで初めて自身の実力を自覚します。

また日髙さんがひと言話すたびにフィルムが止まって巻き戻す作業をしたり戻している間に首脳陣が話し込んだりということがあったため、「自分が加わったために迷惑をかけてしまっている。」と肌で感じてプレッシャーに押し潰れそうだったそうです。

それでもこのときの厳しい環境と指導により短期間で演技力が向上。現在に至るまで声優として長く活動していけるようになりました。タッチ収録時の経験に関して日髙さんは「鍛えていただいて感謝しています。」と自身のエッセイで語られていますし、のちに新人時代の山口勝平さんへ演技指導をする際にその経験が活かされたとか。

ちなみに三ツ矢さんとはテレビ番組で共演されたり共同で事務所を設立されるなど非常に良好な関係を築かれていますし、山口さんは今でも日髙さんには頭が上がらないそうですよ。

タッチの放送が終了した翌年に「トップをねらえ!」と「となりのトトロ」で主演を担当し一般の人からもアニメファンからも高い評価を得て、「これで声優としてやっていけるかも!」と思われた日髙のり子さん。

しかしそのため「でもあれだけ大きな役がヒットしちゃうと大変だね。」と事務所のマネージャー達に言われるようになってしまいました。大きな役で大々的にヒットしてしまうと、“あの声優=このキャラの声の人”というイメージが固まってしまって他の役が取りにくくなってしまうことがあるんですよ。

なのでどうしたらいいか考えた結果、「それまでの自分は女の子役が多かった。」ということで男の子役にチャレンジをすることに。

その後ウェンディ役で「ピーターパンの冒険」のオーディションを受けた際に面と向かってお願いする勇気がなかったそうなのですれ違いざまに小声で言う形になってしまいましたが、すぐに音響監督の方に聞いてもらえることになりその結果ピーターパン役を務めることになりました。

これは自身に付きまとっていた浅倉南のイメージを振り払うためだったそうですが、初の少年役でプレッシャーや不安と戦いながら収録されていたそうです。

それによりときには苦しむことがあったそうですがウェンディ役の松井菜桜子さんやフック船長役の大塚周夫さんに助けてもらい、「精一杯の演技で返したい!」と緊張感を持ちながら演じ最後まで立派に務めあげることが出来ました。

その後も「ふしぎの海のナディア」ではピーターパンとは違うジャンの静かな演技に苦労しながらも青年役を演じられるようになり、「ドッジ弾平」では小仏珍念役の野沢雅子さんから少年役を演じる際の心構えや感情の出し方を学ぶなど演技の幅を着々と広げていかれます。

それらの困難を持ち前の明るさと不屈の精神で乗り越えてきたため、声優業界では「現場で叩き上げられた成功例」「努力で這い上がった苦労人」であると語られていますよ。これからも日髙さんはそのときの経験を活かして声優業界の未来を担う若い才能達をときに優しくときに厳しく導かれていくことでしょう。