小原乃梨子

小原さんといえば初代の野比のび太役で有名です。テレビアニメ放送当時から2005年のキャストリニューアルまで26年間も担当されましたので、リニューアルから10年以上経った今でものび太の声と言ったら小原さんの方を思い浮かべる人が大勢います。

のび太以外にも未来少年コナンのコナンやアルプスの少女ハイジのペーター、超電磁マシーンボルテスVの剛日吉など少年役として主役やレギュラーを担当されました。

現在とある家庭教師派遣会社のCMでアルプスの少女ハイジを扱っていますが、そこに出てくるペーターの声も変更することなく小原さんが演じてらっしゃいますよ。またのび太以上に有名な役がヤッターマンのドロンジョ様でしょう。

ドロンジョ様を演じた際のセクシーな声とコケティッシュな演技は作品の知名度と人気を上げるのに欠かせないものでしたし、それ故に担当した期間はのび太の方が圧倒的に長いにも関わらず周囲の人達からは未だに「ドロンジョ様」と呼ばれてらっしゃるそうですよ。

そのエピソードを笑って話されていますがご本人はいつドロンジョ様役の仕事が来てもいいように、当時の体型のまま維持し続けるという努力を怠らないほど強い思い入れをお持ちです。

その不断の努力と大勢のファンの声があってか、2008年に放送されたヤッターマンのリメイク版シリーズでも昭和版に引き続きドロンジョ様役を担当されました。実写映画版でもその縁で名前もない端役とはいえご出演されるなど、のび太と同等かそれ以上に縁が強く深い役であると言えるでしょう。

ドロンジョ様以外にもタイムボカンのムージョや逆転イッパツマンのムンムンなど、シリーズ恒例の三悪の女ボスを作品と役を越えて長年演じられました。その他にもうる星やつらのおユキのようなクールビューティーな役や、超時空要塞マクロスのクローディア・ラサールという常にユーモアと冷静さを忘れない女性将校役をナレーションと兼任で演じるなどどんな役もこなせる実力派大御所声優です。

2016年現在でも80歳というご高齢であるにも関わらず現役で活動されており、これからも匠の美技で素晴らしい演技を魅せて下さることでしょう。

小原乃梨子さんがお芝居の世界に飛び込んだのは児童劇団の頃から。法曹関係のお仕事に就いて欲しかったお父様のご期待に反して高校卒業と同時に放送界に飛び込み、女優としてテレビドラマで活躍されました。

女優のお仕事と並行して声優として当時は生放送で行うのが当たり前だった洋画吹き替えにも数多く参加されましたし、ジェーン・フォンダやクラウディア・カルディナーレ、ミレーヌ・ドモンジョなど伝説級の銀幕女優を専任で担当されていました。

特にミレーヌ・ドモンジョはドロンジョ様のモデルとなった人物なのだそうですよ。他にもアダムス・ファミリーや007などといった有名シリーズでも主役級の役を演じられました。ご結婚後は家族との時間をしっかり取れるよう声優業に専念されたのですが、その傍ら1988年から朗読家としても活動を開始。

自らが主催となってコンサートや朗読会を行うのはもちろん、大学や自治体に朗読の講師として呼ばれて全国を飛び回ることもしばしば。声優養成所で講師として後進を育成する際にも、童話や詩を教材として選び朗読を通してお芝居のイロハを伝えていらっしゃいます。

こんなに朗読に重きを置いていらっしゃるのは「童話や詩がわかれば人として優しくなれる。」という思いから。特に童話は素敵な人間になって欲しいという想いや教訓が込められた世界の共有財産です。

夜眠る前に親御さんに読んでもらった想い出が暖かいものとして心に残っている人も多いのではないでしょうか?小原さんは声優として長く生きていくためには「他者を思いやれる心」が1番大切だと考えていらっしゃるので、優しさが込められた童話とそれを伝えられる朗読家というお仕事を声優と同じくらい大切なライフワークとされているんですね。

それ以外にも有名美術館やバレエにオペラなど、本場の良いものを見るために海外へ旅に出て自らの感性を磨くことに惜しみがありません。

のび太役を勇退されたのを機にゆったり過ごされるのかと思いきや全然そんなことはなく、年齢や老いなどものともせずにこれからも声優として朗読家としてご自身が満足するところまで成長を続けられていくことでしょう。