三ツ矢雄二

三ツ矢さんはお年寄りから若い人まで幅広い世代にその名と声を知られているベテラン声優です。その中性的なハイトーンボイスは1度聞いただけで印象に残りますし、高い演技力により伝説級となったキャラクターや作品は数知れず。

代表作はタッチの上杉達也やキャプテン翼(昭和版)の新田瞬のようなスポーツ少年に、超電磁ロボコン・バトラーVの葵豹馬や超人戦隊バラタックの加藤ユージのようなロボットアニメの主人公。

キテレツ大百科のトンガリやそれいけ!アンパンマンのカツドンマンのような子供向け番組で人気のキャラクターに、さすがの猿飛の猿飛肉丸やがきデカのこまわり君のようなスケベな役。六神合体ゴッドマーズのマーグや聖闘士星矢シリーズのシャカのような整った容姿で女性ファンに人気がある役に、スマイルプリキュア!のジョーカーやONEPIECEのピーカのような悪役。

ドラゴンボールシリーズの界王神のような生真面目な役や空中ブランコの伊良部一郎(大及び中)のようなワガママで子供っぽい役など、役柄や性格を問わず様々な役を演じられています。

さらにモンスターハンター妖子やナースエンジェルりりかSOSでヒロインの祖母役を演じるなど、自身の性別とは違う役を演じられることも。女性声優が男性役をやることはよくありますが、おばあさんの役とはいえ男性声優が女性役をやるのはかなり珍しいです。

もちろんアニメやゲームだけでなく洋画吹き替えでも活躍されていて、マイケル・J・フォックスの吹き替えを多数の作品で担当。特にマイケル・J・フォックスが主演を務めたバック・トゥ・ザ・フューチャーではシリーズ全てで吹き替えを担当されました。

他にはヴァン・ヘルシングやメン・イン・ブラック2及び3など有名作品でも吹き替えをされましたし、特にメン・イン・ブラックではマイケル・ジャクソンの吹き替えを担当されましたよ。

さらにトイ・ストーリーのレックスやライオン・キングのティモン、リロ・アンド・スティッチのプリークリーなどの世界的に有名なアニメでシリーズを通して参加されるなどアニメだけでなく洋画吹き替えでも欠かせない人物です。

誰もが知っているベテラン声優の三ツ矢雄二さんですが、声優だけでなく俳優でもあります。10歳のときにちびっ子のど自慢番組で優勝したことがきっかけで芸能界に興味を持ち、中学校入学と同時にタレント事務所に所属し子役としてデビューされました。

三ツ矢さんは現在62歳ですので、子役時代から数えると50年近くもキャリアがあることになりますね。デビューの翌年から連続ドラマで主役を務めたりNHKの名物ドラマであった中学生日記の前身である「中学生群像」に出演されるなど、全国ネットで活躍されました。

忙しすぎて中学生時代も高校生時代もあまり授業に参加出来なかったそうですよ。それだけ活躍されたのですから当然成人後も役者を続けていこうと思われ高校卒業後に上京されたのですが、それから急にオーディションに通らなくなっていまいます。

その理由についてご本人は「身長が158センチしかなかったから。」とおっしゃられていました。もちろん低身長だから役者を続けるのは困難であるというわけではありませんが、見栄えなどを考えるとオーディションを受ける役によっては不利になることもありますからね。

それでも専門学校で映像について学びながらアルバイトで生活を支えていく中、子役時代にお世話になっていたディレクターの紹介で人形劇「プルルくん」に出演することに。三ツ矢さんにとって初めてとなる声のみのお仕事で約3年間も続いた番組なのですが、最終日の打ち上げの際に共演者であった永井一郎さんからとあるアニメのオーディションを受けてみるように勧められました。

そのアニメというのが代表作の1つとなる「超電磁ロボコン・バトラーV」で、声優としては新人であるにも関わらず主役の葵豹馬役に大抜擢。声優関連の専門学校出身であるわけでもないしアフレコも初めてで戸惑われることももちろんありましたが、関係者の勧めで宇宙戦艦ヤマトの現場を見学されたことやスタッフ陣及び先輩達の指導の元大きく成長。

コン・バトラーV終了後はキャンディ・キャンディや超人戦隊バラタックに続けて出演し、声優として本格的に活動されるようになりました。それから多くの作品で主要キャラを務められることになるのですが、六神合体ゴッドマーズでは主人公の兄・マーグ役で出演。三ツ矢さんの演技がマーグの魅力を引き出し、制作陣が想定していた以上の人気キャラになりました。

この役は途中で亡くなってしまうのですが死亡するという情報が流れたときは助命嘆願書やカミソリが制作側へと送られてきたそうですし、亡くなった際には日本テレビ内でファンの手によってお葬式が催されたことも。

それほどの圧倒的すぎる人気は物語の展開にも影響し、マーグは魂のみの存在として復活。さらに最終回のエンディングテーマの歌唱も担当し、後にマーグを主役とした劇場版やオリジナルビデオアニメが制作されました。

そこまでご自分が演じたキャラを愛してもらえて役者冥利に尽きる思いだったのではないかと思います。

またタッチでは「弟の和也の方が死ぬらしい。」という噂を聞いていたので、兄の達也役でオーディションに参加。プロデューサーやディレクターから「達也の方が役的に複雑で勉強になるから頑張れよ!」と陰ながらの応援を受けて、見事に合格。

なおこの際のオーディションは先入観に左右されないように姿が見えないようにしたり出番のときは番号で呼ばれるなど、覆面オーディション形式で行われたので達也役を得たのは完全に三ツ矢さんの実力ですよ。

後に達也役について三ツ矢さんは「自分とは正反対な役だから演じるために苦労したし、それと同時に正反対だからこそやりやすかった。」と語られています。ちなみに弟・和也役で合格した難波圭一さんに「死んじゃってもね、人気があってファンが騒ぐとね、生まれ変わるよ。」とマーグでの経験から語られていたのですが、生き返りませんでした。

これにより難波さんに「なんだ、生き返らなかったじゃないですか。」と言われてしまい、「SFと現実ものは違うね。」と謝罪されたそうです。それとここ近年になって三ツ矢さんは再び俳優としてテレビドラマで活躍される機会が増えていらっしゃいます。

「天誅~闇の仕置人~」ではおネエ系ママ役としてレギュラー出演されていましたし、映画「さよならドビュッシー」にも出演されました。声優志望の方は三ツ矢さんの声のみの演技をお聞きするのももちろん勉強になるのですが、俳優として体を使った演技をされているところを拝見するのも大変勉強になるので機会があったら是非ご覧下さい。

また三ツ矢雄二さんは家庭教師ヒットマンREBOAN!やビックリマン2000などの作品で、音響監督としてアフレコ演出をされることで出演者の方々を裏から支えられることもあります。

その作品の中には俳優やタレントなど声優としてお仕事をするのは初めてである方が起用されることも多くどの方も最初は上手く出来ずに戸惑われるのですが、三ツ矢さん自ら手本を見せ具体的に丁寧に演技指導を行うことで1人前の声優へと導いていらっしゃいます。

特に初めて音響監督をされた「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」では主演に元・宝塚トップスターの涼風真世さんが起用されたのですが、三ツ矢さんの指導のもと涼風さんは主演声優として大きく成長。

アニメと宝塚の演技を見事に融合させ頼もしい師を得た涼風さんは番組が終了するまでの2年間立派に主役を務められましたし、テレビアニメの続編となるオリジナルビデオアニメや9年後に制作された新作アニメでもそのまま続投されました。

また遊戯王デュエルモンスターズでは当時高校生だったジャニーズの風間俊介さんが主演を務めることに。もちろん風間さんも声のみの演技は初心者で番組開始直後は棒読みに近いような出来だったのですが、音響監督として厳しく丁寧に指導された結果回を重ねるごとに成長し最終的には一人二役を完璧にこなされていました。

さらに三ツ矢さんはテレビアニメの音響監督だけでなく「テニスの王子様」や「少女革命ウテナ」などのミュージカルで脚本や演出を手がけたり、俳優養成機関の代表を務めるなどその幅広い活躍には際限がありません。ベテラン声優としても裏方や教育者としても、いつまでも声優業界を支えていってくださることでしょう。